旅心について

いつからかそう思うようになったのかは忘れてしまったけど、
疲れたとき、寂しいとき、行き詰まったとき、一人になりたいとき、旅に出たくなる。


行き先は多々思いつくのだけど大抵は南の、常夏の島に行きたくなる。
白い砂浜には人々がカラフルな水着を着て寝そべっている。
ヤシの木陰には屈託のない笑顔の子供がいて、一緒に遊ぼうと誘ってくる。
ただし油断していると脱ぎっぱなしのサンダルを持って行かれたりする。


日焼け止めを隅々まで塗ったらTシャツとジーンズを脱ぎ捨てて水際まで走る。
さっき仲良くなった子供がついてきて、一緒にはしゃいで水をかけあって遊ぶ。
深い所には怖いから行かない。でも水が澄んでいて、遠浅だったら遠くまで行きたい。
潮が満ちたら足のつかなくなるくらいの遠くへ。
そこで穴を掘って何か生き物が出てこないかわくわくしたり、ただぺたりと座り込んで砂浜にいるひとを眺めたりしたい。
そのうち少しずつ潮が満ちてきて子供に砂浜に戻ろうと言われる。
意思の疎通はボディランゲージで、共通の言葉はない。
ないけれど、通じ合う事ってあるんだなーと、淡々と思うだろう。
手をつないで満ち始めた海をゆっくり歩いて行く。
背中を甘い橙色の夕陽が焦がす。陰の色がとても濃い。


遊び疲れて宿に戻って、シャワーを浴びてすぐ寝てしまうと思う。
ベッドにもぐりこんで気付くと朝が来ていて、また水着の上にTシャツとジーンズを着て砂浜に行ったりする。
あるいは近所のスーパーに行って食料やお酒を買い込んだりする。
朝と昼は基本的に自炊で、簡単なサンドイッチとかパスタを作って食べる。
南国だから、と言い訳して昼間からワインも飲む。
ああ天国だなあと思いながら、ひとくちごとによく味わって。
旅先で食べる食事は適当でも美味しく感じるのは、舌さえもはしゃいでいるからだろうか。
サラミやチーズにかぶりついたりお行儀の悪い事も多めに見て欲しい。
マンゴーやパパイヤも八百屋の店先に山のように積まれていてとても安く売られている。
買い過ぎて食べきれなくて腐らせたりする。


カメラを持って島を歩き回ると際限がなくて、歩き疲れてその辺に座り込んでぼんやりする。
多分そこはあまり大きくない島で、数時間歩けば一周できるようなところだといい。
ふと足下を見ると自分の足の甲がうっすら日焼けしていることに気付く。
歩き回る時は首にタオルをまいて、露出している部分にはきっちり日焼け止めを塗っているけれど迂闊にもそこには塗り忘れる気がする。
laptopを持って行くかは迷うところだけど、USTしたら面白いかもしれないので多分持って行く。
インターネットが使える所なら、のはなしだけど。
基本の生活パターンは朝起きて、朝ご飯を食べたら、砂浜に行くか散歩に行くかで、夜は遊び疲れて寝ているか、もし友達が出来たら適当に飲みに行ったりしたい。
時間はあまり気にしないで、起きたい時に起きて寝たい時に寝る。小学生みたいな気ままな時間を過ごしたい。