10年後に会おうという約束について

先日「恋人までの距離」という映画を見た。
ヨーロッパを旅行しているアメリカ人の男の人とフランス人の女の人が、列車で出会って恋に落ちる話だ。
二人はフランス行きの列車を途中下車して行動を共にする。
色んな場所を観光してまわり、お互いのことを教え合う。
別れの時が来て、感極まった二人が5年後に、いや1年後に会おうと約束しあって、映画は終わる。
本当に会えたかどうかわからないまま終わるんだなーと思っていたら、どうも続編があるらしいい。
なんてこった。この手の映画の続編は大抵駄作だ。
バタフライ・エフェクトにも続編があるけど、続き作ってどーすんのと思う。
物語の結末は美しい。心を揺るがす情景、表情、いい作品を観た後は少し動揺する。
「もう二度と会えないかもしれない」という気持ちは、非現実的で、感傷的で、素敵だと思う。
人間は生きていれば絶対にまた会える。それは希望でもあり絶望でもあると思う。
憧れの相手が、何年か後に、その時のままの姿の、気持ちの、考え方のままでいるわけがない。古いものは失われ新しいものを手に入れたその人に会って絶望するかもしれないし、また一層興味を深めるかもしれないし、それはわからない。
「○年後に会おう」という約束は、一見ロマンティックに見えて、その気持ちを打ち砕く最終手段でしかない。
それでも、数年後のそのひとに会いたいと思ってしまったら、そういう相手に出会ってしまったら、その時はその時で。