監督失格を観て

前から観たかった平野勝之監督の「監督失格」をついに観た。
ものすごい内容だった。


愛ってなに?
つくるってなに?
表現するってどういうこと?
すべて詰まった作品だった。見終わって何時間も経った今もまだ胸が少し苦しい。


表現するという事、愛するという事、そして愛する人との別れ。物語として、映像として表現する事を生業にするひとにとって、愛する人との思い出を形にすることがその人との別れになってしまうというのは、辛すぎる。
けれど文章にせよ映像にせよ、つくるとはそういう事なんだと感じる。つくっては自分から切り離し、またつくっては別の場所に置く。そうすることで、つくるひとは、自分の胸の内に置いていたら腐ってしまうすてきなものを、半永久的に保存するんじゃないかなあ。
いま、この時に、この映画を、きちんとした映画館で観る事のできた私はものすごく幸運だとおもう。
何かをつくっては自分のうちから取り出していくことの大切さ、辛さを、改めて思い知らされた。それは半身をもがれるような痛みだけど、必要なことだから、やめられない。平野監督にとってもそうだろう。


ぎゅっと心臓を掴まれるような作品でした。
ぜひ観てほしい。どんな人にも。