子供のあの日

子供の頃、大人になったら何でも出来るんだと思ってた。お金を稼いで、好きな事をして、どんな事も思いのままなんだって考えていた。現実は大人になっても8時間以上寝ないと起きれないし、大人になるとストレスたまったときに酒を飲むしか解決法がないの。10代なら手首切っても多目に見てもらえたのにね。今やったらびょーいん行け、って言われてしまうのだ。
あの日私はベランダから絵の具を混ぜた水を流した。筆入れにすべての絵の具を少しずつたらして作った、汚い色水。黒にもなりきれない、緑っぽい茶色の水を、真っ白なマンションの壁から外にぶちまけた。何故そんなことをしたのかは分からないけど、今思えば私は「参っていた」のだ。10歳にも満たなかった私のこころは疲弊しきっていた。あの色水は私の心だった。真っ白な壁に思い通りにならない現実のすべてをぶちまけてしまいたかったのかもしれない。なんて今なら、思える。
今のわたしには、そんなこと出来ない。
絵の具の水をぶちまける事もできない。
なあ、大人って不自由だよ。
こころをどっかにぶちまけたり、出来ない。