just three

一日を忙しく過ごすと身体が保たない。どうもまだ丈夫にはなってないようで、結構簡単に発熱する。数時間、外で用事を済ませて帰宅して、仕事まで一時間寝ようと思ってベッドに横になった。昼間の室内は陽の光に満ちて暖かい。まどろみながら、毛布を一枚だけかけて眠りに落ちたのが間違いだったようだ。携帯のアラームで起き上がった時、頭の中で鐘を鳴らされているような頭痛と熱っぽさでよろけた。
少し気持ち悪い。昼に食べた物はとうに消化されていて、空腹過ぎて吐き気がしているようだった。自分のからだのことなのに、具合が悪い時、それは別の物事のように感じられるときがある。痛みや不快感は確かにそこにあるのに、それは何処か別の、遠い次元で起こっている不思議な出来事かのように思える。適当に冷蔵庫にあったすぐ食べられる物をつめこんで、頭痛薬を二粒水道水で流し込む。コップを出すのも面倒で、蛇口をひねり手を受け皿にして薬を飲み下す。薬を飲んだ瞬間、これで何十分後かには苦痛が軽減されることを想像して、少しホっとする。ベッドに戻り、布団を頭までかぶって丸くなって目を閉じる。あまり眠くはないし、今眠ったらきっと悪い夢を見る。夜中に、真っ暗な部屋で、悪夢を見て目が覚めた時の絶望。隣には誰もいなくて、首筋を冷たい汗がゆっくり伝っていく。心臓は妙にうるさく高鳴って、喉が渇いていることに気付く。電気をつけて、ああ、ここはちゃんと現実だと少しだけ安堵して冷蔵庫からミネラルウォーターをとりだしてコップ一杯飲み干す。大丈夫、この部屋には自分しかいないと言い聞かせる。このまま眠ると、夢の続きを見てしまうから、お湯を沸かしてゆっくりお茶を飲む。やることがなくてテレビをつけると世界遺産を延々映しているだけだったりする。真っ白な石灰岩が段々になって青い水が上から流れていく。何かがリセットされるような、そんな気がした。