書き留めたいと思った事

ああ苦しいなあ、喉に何かつまってるみたいな気持ちでタクシーの中がいっぱいになってしまう。きらびやかな歓楽街を車が抜けていって、お酒も踊りも音楽もぜんぶ遠い彼方にいってしまう。飲み過ぎたなあと何百回思った事か、思っても反省なんか一生しないからクラブに行く度にテキーラを飲み続ける。会話はない。ただなんとなく外を見てさっき起こったことの意味を考える。もう一度会えるかどうかも、メールが返ってくるのかも、彼女がいるひとなのかひとりなのか、もしかしたら私みたいなのはタイプじゃないかもしれないかとか、そういうことを無限に反芻して少しだけ泣く。今この車の中だけが私が一人で本当のことを考えられる場所なんだと思いながら、唇の感触なんかを思い出しながら。
ひとが沢山いる、街の中で、もしかしたらこの中のどこかにいるかもしれないと考えて落ち着けたら楽なのに。もう一度会えるかなとか、何してるひとかとかそういうことだけで、憧れだけで終われば、何も切なくなんかならない。苦しくてご飯を食べれなくなったりはしない。何かの偶然でどこかで、どこでもいいから話したりできたらいいのにな。ああこの感覚懐かしい。


ガス・ヴァン・サント監督のMILKという映画を観た。実在した、アメリカで初めて政治に関わったゲイであるハーヴィーミルクのおはなし。話もよかったけれど(ノンフィクションだし)ミルクのキュートなところが素敵だった。