5月の5時半は明るい、まるで悪夢みたいに

青い青い、空が青い。思わず窓の外を二度見た。夢中になって本を読んでいたせいか、すっかり朝だなんて思ったらまだ5時半だ。つい数週間前の5時半はまだ星が瞬いていたはずなのに、私の夜は奪われてしまった。漆黒の空と月と星と静寂が支配する時間。夏がやってくる。ぬるい空気とオレンジ色の夕暮れと、蚊と蝉と擦り傷の季節。
夢を見ているんじゃないだろうか。外の景色はあまりにも作り物じみている。鳥のさえずりや少しずつ動き始める街、冷たい空気を吸ってみてもこれが悪夢にしか思えない。本当の私はこんなさわやかな場所ではなく、背中に汗をかきながら布団のなかでもだえているのではなかろうか。悪夢みたいに綺麗な朝。誰も本当のことなんて教えてくれません。子供が泣きわめいても、たまごが割れても。


そうして日々が過ぎていくけれど、他の人の日々がただ過ぎ行くことをそのまま受け止められない人の多さに辟易する。誰かが青いたまごをもらっても妬んだりせず雛が孵るまで温められるような人ばかりならよかったのにね。きっとたまごから何も生まれはしないけど。あるいはたまごの中にいるのは私自身なのだから。殻を割りたいなんて思わないで、殻の中で過ごしていればよかったのだ。僅かなヒビの隙間から、空が見える。
それは、悪夢のように青かった。

ナンバーワンにならなくてもいいなんて死んでも言うな

ポールダンスの日本大会を見てきた。
日本のトップレベルのダンサーが集まって、技術も表現力も凄まじかった。心に訴えかけるものがありすぎて、涙がでた。どの人もその人の心のままに踊り、素晴らしかった。苦しくもなった。
全ての人が素晴らしいのに、大会だから点数がつく。ジャッジがある。大会とはそういうものだ。努力が報われたと涙できるひともいれば、入賞しないひともいる。でも本当は皆優勝したいはずだ。そのために頑張っていたはずなんだから、だから、例え慰めでもナンバーワンにならなくていいとかそんなことを言うのは死んでもやめろと言いたい。人の努力を踏みにじり、何も考えていないバカの言う言葉だと思う。その人が命をかけて全ての力を注ぎ込んだ物に対する軽蔑だ。私はこの言葉が大嫌いです。マッキーは大好きなんだけど。ナンバーワンになれたひと、そしてなれなかったひとにそんなくだらない言葉をかけるのは、やめましょう。


どんな世界にも誰かしらナンバーワンという存在がいるのかもしれない。例えばナンバーワンがいなくても賞をとるとか。私は勝ち負けのあるゲームがあまり好きでないけれど、書くということに関して、戦う前に逃げる事だけはしたくない。どうせやるなら勝ちに行くのだ。勝つしかない。ナンバーワンになりたい。もしなれなかったとしても、ならなくていいなんて事を言う奴とは絶交しようと思ってます。

欠陥人間が好きだ

仕事終わりに、本屋に行った。車で送ってもらう時間まで大分あったので暇つぶしに、と思ったけれど何も買わなかった。お金貯めなきゃな、と思うとなんとなく本を買うのも躊躇するようになる。あれだけ読みたかった漫画も、一度手に取って戻した。
何もお金がかかるからだけじゃない。本を読む、ということは「インプットでありながらアウトプットでもある」からだ。文字やストーリーを頭にいれるとそれについて考える。その分、自分がそれを読む前に考えていた事がひとつ消える。私の頭は単純なので、ところてん式にアウトプットしようと思っていた事がひとつ無くなってしまうのだ。本当は本を読んだことなんかよりも大事な考えが、消えてしまう。
そういうわけで部屋の中にある漫画を全て処分することにした。といっても半分は実家に送る。家に置いておくのは小説と、勉強や仕事に必要な書籍だけ。これで本が場所をとることもなくなり、一石二鳥だ。
本屋に行って、無数に並べられている本を見ながら「書かなきゃ」と繰り返し思った。書かなければ。書かなければいけないのに今まで何をしていたんだろうと。こんなに世の中に本が溢れているのに私の本がまだ無いなんて。書かなければ、形にしなければ、そしてここに私の本を平積みにして置いてやるのだ、と。書かなければ、なんなんだとも思うけれど、全ての、本当の、一番の目的はそれなんだから。それ以外の事なんて私の人生にとっては全てオマケでしかありません。もし頭から全ての文字が消え去り言葉を失ったら、私は死ぬしかない。目が見えなくなっても、頭がおかしくなっても、キーボードを打つ手があれば何か書く事ができるだろう。何者もわたしから、言葉を決して奪いませんように。言葉は全ての希望であり、絶望で、翼で、二本の足なのだから。

人の子供が立って歩いていくように言葉をつなぎ合わせていきたい。前は文章を書く事をうんこするようなものだと思っていたけど、本当は出産なのかもしれない。そうじゃなければ私は自分のしたうんこを読み返しては推敲し、また新しいうんこをするという文学的スカトロジストになってしまう。でも出産だと相手が必要だし、やっぱりうんこかもしれない。いいうんこを沢山したい。そのための食事はもうたっぷりした。あとは便器に座るだけだ。



欠陥人間が好きだ、というのは自分も含めてダメな子ほど可愛いなと思うからです。完璧な人に、人の心を惑わす事は、出来ない。

子供のあの日

子供の頃、大人になったら何でも出来るんだと思ってた。お金を稼いで、好きな事をして、どんな事も思いのままなんだって考えていた。現実は大人になっても8時間以上寝ないと起きれないし、大人になるとストレスたまったときに酒を飲むしか解決法がないの。10代なら手首切っても多目に見てもらえたのにね。今やったらびょーいん行け、って言われてしまうのだ。
あの日私はベランダから絵の具を混ぜた水を流した。筆入れにすべての絵の具を少しずつたらして作った、汚い色水。黒にもなりきれない、緑っぽい茶色の水を、真っ白なマンションの壁から外にぶちまけた。何故そんなことをしたのかは分からないけど、今思えば私は「参っていた」のだ。10歳にも満たなかった私のこころは疲弊しきっていた。あの色水は私の心だった。真っ白な壁に思い通りにならない現実のすべてをぶちまけてしまいたかったのかもしれない。なんて今なら、思える。
今のわたしには、そんなこと出来ない。
絵の具の水をぶちまける事もできない。
なあ、大人って不自由だよ。
こころをどっかにぶちまけたり、出来ない。

監督失格を観て

前から観たかった平野勝之監督の「監督失格」をついに観た。
ものすごい内容だった。


愛ってなに?
つくるってなに?
表現するってどういうこと?
すべて詰まった作品だった。見終わって何時間も経った今もまだ胸が少し苦しい。


表現するという事、愛するという事、そして愛する人との別れ。物語として、映像として表現する事を生業にするひとにとって、愛する人との思い出を形にすることがその人との別れになってしまうというのは、辛すぎる。
けれど文章にせよ映像にせよ、つくるとはそういう事なんだと感じる。つくっては自分から切り離し、またつくっては別の場所に置く。そうすることで、つくるひとは、自分の胸の内に置いていたら腐ってしまうすてきなものを、半永久的に保存するんじゃないかなあ。
いま、この時に、この映画を、きちんとした映画館で観る事のできた私はものすごく幸運だとおもう。
何かをつくっては自分のうちから取り出していくことの大切さ、辛さを、改めて思い知らされた。それは半身をもがれるような痛みだけど、必要なことだから、やめられない。平野監督にとってもそうだろう。


ぎゅっと心臓を掴まれるような作品でした。
ぜひ観てほしい。どんな人にも。

非常時用の持ち出し袋をつくるよ

今年の3月11日は誰にとっても忘れられない日になったと思います。しばらく続いた余震もそろそろ忘れ去られた今日この頃ですが、いつまたあのような事態が起きるかもわかりません。
そこで!今年の経験を無駄にしないため、非常用持ち出し袋をつくっちゃおう。と思い立って色々まとめて買いました。
買った場所は近所のドラッグストアと、Amazon
重いものや専門店でしか手に入らなさそうなものはAmazonで、それ以外はドラッグストアにて購入しました。
以下にそのリストと金額を公開していきます。


●いれもの
スナグパックの35Lバックパック(前から持ってたもの)
1年くらい前に買ったものですが確か6000円くらい。
世界中の軍で愛用されているそうなので丈夫さは言わずもがな、量も入るし機能性にも富んでいる優れものです。


Amazonで買ったもの 33313円



 


ガスも止まる事態を想定して。あと登山に行く予定があるのでついでに。


 


上のミニガスコンロでの調理用。
ちょっとこの辺をカートに突っこんだ辺りからキャンプ用品に目を付け始めた。
食器も登山用を購入。




  


お水は500mlと2Lとわけて購入。持ち運び用と備蓄用的な。
水があってガスがあって飯ごうがあるので無洗米も。一合ずつにわけて持っていく予定。




   


バックパックと同じメーカーの寝袋。-7度までOKとのことで頼もしい。
ポンチョは以前の登山経験から、傘より便利とわかっていたので。
椅子は、今回の震災の避難所の映像で「床に座るのが辛い(寒いから)」という意見を参考に。
防寒シート。これがあるだけでずいぶん違うみたい。野宿も視野にいれて。




   


何かと使いそうなナイフ。缶詰あけたりいろいろと。
懐中電灯はLEDで、置いてテーブルランプっぽくも使えるやつ。
ラジオも一応買った。ネット繋がらないかもしれないしね。
ホイッスルは例えばがれきのしたに閉じ込められたときとかに、見つけてもらう用みたい。




●ドラッグストアで買ったもの



•食料 5549円

個別包装のチョコ
板チョコ2枚
ブルボンプチ6種類(甘いのとしょっぱいの3種類ずつ)
C1000レモン飴
ミルクキャラメル
カロリーメイト3個(チョコ味)
缶詰8個(いわし蒲焼き、にしん蒲焼き、さんま蒲焼き、焼き鯖、鯖みそ煮、やきとり塩、たれ、黄桃)
おかゆ4つ(白、紅鮭、たまご、梅)
ふりかけ2種類(のりたま、味道楽)
梅干し茶漬け(6食分)
いつでも梅干し
レトルトカレー3つ(ポーク、チキン、ハヤシ)
みそ汁2種類24食(わかめ15、とうふ3、ねぎ3、油揚げ3)
たまごスープ(3食分)
コーンポタージュ(3食分)
カップヌードル3つ(チャルメラの味噌2個と醤油1個)
マキシムカプチーノ(4杯分)
ほうじ茶(20杯分)



•日用雑貨 5363円

カイロ(貼るもの大小、貼らないの小)
マッチ12個入り
衣類用洗剤(個別包装のもの)
消毒用アルコールジェル
電池(単三と単四)
絆創膏
メンソレータムリップスティック
生理用品
おしりふき
マスク(10枚入り)
除菌ウェットティッシュ



☆ 総計 44225円 ☆



●まとめ

非常用持ち出し袋、だけでなく、登山用品と備蓄用の食料も含まれてこんな感じかなーという。
色々考えた結果、登山用品と非常時、災害時に必要なものってほぼ一緒ではないか??という結論に達しました。
避難所の映像とかも見てる限り、寝袋で寝てる人もいたし、地べたに座るのが嫌だから椅子に座っている人もいたし、
体育館とかは冷えるからサバイバルシートも要るかもしれないし…
ってなるとやっぱりこのラインナップに必然的になるわけです。
まあ、災害の時も登山のときも、普段より不便な非日常って点では同じだもんね。



その他必要そうなものはネットで調べてリストアップしました。
特に食料は、実際に被災された方がどんな食生活で、どこに不満があったかにフォーカス。
一応調理も出来る環境を整えておき、1週間〜は耐えられるように考えました。
ちなみにイワタニのミニガスコンロは、普通のガスボンベも使えるみたい。そこが決め手で買いました。
ちなみに薬品類は常備薬をそのままひっつかんで持って行くよていなので特に買わず。
鎮痛剤と百草丸と湿布くらいかなー。



歳末で色々と物入りだとは思いますが、備えあれば憂いなし!
災害が起きなかった場合はすぐ登山にも行けるフル装備です。

意地悪な水底

陽の光に照らされてきらきら光る水面に、くらげのようにおばあちゃんが浮かんでいる。ぶよぶよの体をビート板に預けて気持ち良さそうに浮かんでいる。第4コースは深さ3メートルだ。どこまで行っても、足がつかない。底までもぐろうと思っても、うまくいかない。
蹴りだした足をまっすぐに伸ばし、手も動かさずいけるとこまで行く。そろそろ止まるかなと思ったら水をゆっくりとかく。足で蹴る。ゆったりとした平泳ぎなら、どこまででも泳いでいける気がする。呼吸を乱さずにとにかく自分のペースで行くのがコツだと思う。疲れたら仰向けになって、足だけで背泳ぎをすればいい。
耳は水でふさがれて、自分の呼吸だけが頭に響く。


水底は意地悪に笑っている。
どうやったって届かない場所に背を向けて、泳ぎ続ける私を。